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Channel: スポーツナビ+ タグ:ビッグゴールド
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飛んでイチバンニンキ〜天皇賞・春2005/HERO(ヒーローになる時、それは今)

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『現象には必ず理由がある』現在放送中のドラマ「ガリレオ」の主人公・湯川学の口癖である。ドラマ自体は面白いのだが、柴咲コウの後任で入った吉高由里子が帝都大卒(おそらく東大がモデル)のインテリというのには無理がある(彼女自体は特に嫌いなわけではないが、あまり知的には...)というのはさておき、昨年秋から始めた当企画も、「1番人気になったのには理由がある」「1番人気馬が負けたことにも理由がある」というのを解明するために始めた。結果論であるのは承知の上で。ただし予想には役に立っていない。今週行われる天皇賞・春。今年の春天は余程のことがない限り1番人気が負けることはないだろう。「じゃあ、やる意味ないじゃん」とも思うのだが、取りあえず今回はまず過去20年の1番人気馬の成績から見てみることにする(先にこれからやると、後は見てもらえないんじゃないか心配だけど)。天皇賞・春 1番人気馬の成績(1993年以降) 1993年 メジロマックイーン(1.6倍)2着(1着ライスシャワー②) 1994年 ビワハヤヒデ(1.3倍)1着 1995年 エアダブリン(3.5倍)5着(1着ライスシャワー④) 1996年 ナリタブライアン(1.7倍)2着(1着サクラローレル②) 1997年 サクラローレル(2.1倍)2着(1着マヤノトップガン②) 1998年 シルクジャスティス(2.0倍)4着(1着メジロブライト②) 1999年 スペシャルウィーク(2.3倍)1着 2000年 テイエムオペラオー(1.7倍)1着 2001年 テイエムオペラオー(2.0倍)1着 2002年 ナリタトップロード(2.7倍)3着(1着マンハッタンカフェ②) 2003年 ダイタクバートラム(2.0倍)3着(1着ヒシミラクル⑦) 2004年 リンカーン(2.2倍)13着(1着イングランディーレ⑩) 2005年 リンカーン(5.4倍)6着(1着スズカマンボ⑬) 2006年 ディープインパクト(1.1倍)1着 2007年 アイポッパー(3.8倍)4着(1着メイショウサムソン②) 2008年 アサクサキングス(3.6倍)3着(1着アドマイヤジュピタ③) 2009年 アサクサキングス(3.5倍)9着(1着マイネルキッツ⑫) 2010年 フォゲッタブル(2.6倍)6着(1着ジャガーメイル②) 2011年 トゥザグローリー(3.1倍)13着(1着ヒルノダムール⑦) 2012年 オルフェーヴル(1.3倍)11着(1着ビートブラック⑭)こうして見ると一目瞭然。1993年からの9年間では(4,3,0,2)とバツグンの安定感を誇っていた1番人気馬だったのが、2002年以降で1番人気馬が勝ったのは単勝1.1倍のダントツ人気になったディープインパクトのみ(ちなみに1990〜1992は武豊が4連覇)。この間に何が起こったのか。それはやはり、天皇賞が「最強馬決定戦」とは言えなくなてしまったことにあるだろう。2001年以前の勝ち馬、1番人気馬を見て分かるようにその年の最強といわれる馬が参戦している。しかし2002年以降は必ずしもそうはなっていない。単勝オッズを見ればわかるが、2001年以前は単勝3.0倍以上ついたのは1995年のエアダブリンのみ。それに対し2002年以降では11年で実に5年で単勝3.0倍以上ついている。さらに2001年以前は1995年のライスシャワー以外、1、2番人気馬が勝っているのに対し、2002年以降では7番人気以下の馬が6回も勝っており過半数を占める事態に。今年の1番人気はおそらく負けないとは思うが果たしてどうなるか。ということで今回は1番人気でも単勝5.4倍もついた2005年を取り上げるとする。冒頭に触れた「ガリレオ」というのは、天動説地動説を唱えたことで有名な天文学者・ガリレオ・ガリレイから取っているのだが、実は競走馬にもガリレオという馬がいた。ガリレオは2000年にアイルランドの名門・エイダン・オブライエン厩舎からデビューし、翌2001年に英愛ダービー、“キングジョージ”を制した名馬。わたしも当時「NHK-BS世界の競馬」で“キングジョージ”のレースぶりを見て衝撃を受けたものだ。ちなみに同時期にオブライエン厩舎に所属していた馬に、先日、マンチェスター・ユナイテッドを英プレミアリーグ優勝に導いたサー・アレックス・ファーガソンが所有し、GⅠ7連勝した名マイラーロックオブジブラルタルがいる。ガリレオはその名に負けずに立派な成績を残すことが出来たが、当たり前だがそう簡単にはいかないのが現実である。日本にも例えば、悪魔超人界のプリンス・アシュラマンの家庭教師サムソン・ティーチャーから名を取ったメイショウサムソンのように活躍する馬をいれば、メイショウノブナガのように期待にそぐえなかった馬もいる(弟は頑張ったが)。それでは2005年の春天で1番人気になった馬はどうだったか。歴代トップクラスの評価と人気を誇るアメリカ合衆国第16代大統領・エイブラハム・リンカーンからそのまま名を取ったリンカーンは、父サンデーサイレンス、母はダービー馬フサイチコンコルドの半妹グレースアドマイヤという良血馬。南北戦争を終結させ奴隷解放宣言で有名な本家に負けない活躍を大いに期待されデビューした。しかし、3歳時は菊花賞、有馬記念と続けて2着するなどあと一歩GⅠには届かず。4歳になって阪神大賞典を勝ったリンカーンは、同期の2冠馬ネオユニヴァース、菊花賞馬ザッツザプレンティ、ダービー2着のゼンノロブロイを向こうにまわし、春の天皇賞で堂々の1番人気に推されるが横山典弘のイングランディーレの逃げの前に13着と惨敗。その後は同期のゼンノロブロイが秋天→JC→有馬記念と秋の王道GⅠを総なめにする中勝てない日が続く。そして、2005年の春の天皇賞を迎えたのである。〈2005 天皇賞・春〉リンカーンはこの年、前年と同じく阪神大賞典で始動。しかし先に抜け出したマイソールサウンドの前に3着敗退。勝ったマイソールサウンドはそれまでマイルから2000M前後を中心に使ってきた馬で、この勝利は展開が向いただけと言われた。ここで2着とリンカーンに先着しているアイポッパーは、菊花賞馬ナリタトップロードと同じサッカーボーイ産駒で、リンカーンと同期ながらデビューが遅かったこともあり条件戦を勝ち上がってきた叩き上げの馬。阪神大賞典ではリンカーンと1キロ差あったため4番人気に。他の前哨戦では日経賞は8歳馬のユキノサンロイヤル、大阪杯は2000Mがベストのサンライズペガサスが勝ったという事もあり、阪神大賞典3着ながらもリンカーンが1番人気に押し出されるということになったのである。2番人気には春天史上初の外国からの参戦となった豪州のマカイビーディーヴァ、3番人気には前々年の勝ち馬ヒシミラクルと、未知の外国馬と過去の実績馬に期待しなくてはいけない程のメンバー構成。前年は10番人気のイングランディーレが勝ち、前年の秋に王道GⅠ3勝し年度代表馬になったゼンノロブロイは回避、このレースと相性がいいと言われた前年の菊花賞馬・デルタブルースもいない。こうなると、前年の春天で惨敗し、前走で3着ながらも安定した成績は挙げていたリンカーンに期待が集まったのも仕方がなかったと言えた。小雨も振り、波乱のムードがムンムンと漂う中で春の天皇賞のゲートが開く。ハナに行ったのはOP特別を連勝してきたビッグゴールド。ブリットレーン、シルクフェイマスらが続き、人気どころではヒシミラクルがややかかり気味に前にいく。有力馬は後方に控えてレースは進む。2周目の1コーナーでシルクフェイマスが交して先頭に立ちタテ長の展開になるが、アイポッパー、マカイビーディーヴァ、リンカーンといったところはまだ後方から。3コーナーでビッグゴールドの和田竜二が後ろを確認すると、逃げるシルクフェイマスの内に進路を取り最内から一気に先頭に立ち突き放す。ビッグゴールドが粘り込み、和田竜二3度目の春天制覇か、と思われたが、その外を通ってアイポッパーが迫って来る。さらに2頭の間から抜け出して来たのは安藤勝己騎乗のスズカマンボ。道中は中団の内でジックリと脚をためていたスズカマンボが、最後にビッグゴールドを差し切り、天皇賞馬に輝いたのだった。リンカーン、マカイビーディーヴァは流石に後ろ過ぎたか。伸びて入るが勝ち負けまでには及ばず。結果として内を通り早めに仕掛けた馬が上位を占めたレースだった。《2005年 天皇賞・春》1_スズカマンボ(安藤勝)⑬2_ビッグゴールド(和田)⑭3△アイポッパー(藤田)④4_トウショウナイト(武士沢)⑩5_ハーツクライ(横山典)⑧6△リンカーン(福永)①7△マカイビーディーヴァ(ボス)② 10_ザッツザプレンティ(岩田)⑦ 11_アドマイヤグルーヴ(武豊)⑥ 12○ハイアーゲーム(吉田豊)⑮ 14▲サンライズペガサス(幸)⑨ 16◎ヒシミラクル(角田)③ 18_シルクフェイマス(四位)⑥こうして馬名を並べてみると「後の」も含めGⅠ馬が6頭おり、決してレベルが低いとも言えない気もするが、この時点でこのレースに適性があるかを考えると?勝ったスズカマンボは、朝日CCを勝ったくらいの実績しかなかったものの、アンカツがウマく乗ったというのもあって見事にGⅠ制覇。元々素質はあったものの、まさかここを勝つとは。秋は天皇賞→JC→有馬記念と進も惨敗だった。1番人気のリンカーンはやはり位置取りが悪かったか。タテ長の展開になって後ろで牽制し合っていた馬は間に合わず。1番人気と言えども、完全に押し出されたものでもあり、なかなか難しいものがある。結局2年連続で1番人気に応えることが出来なかった。この馬は翌年もこのレースに出て2着だったが、勝ったのがディープインパクト。相手が悪かった。とはいえ、こういう馬は仮にディープインパクトのような存在がいなかったとしても実際に勝てたのかは疑問でもある。 GⅠ2着が3度あり、実力があるのは確かだが、詰めの甘さと運を引き寄せる何かが欠けていたとも言える。決して科学的な「理由」ではないが。多くの期待を託されて偉人(ヒーロー)の名をもらったものの、ヒーローにはなり切れなかったか。1勝も出来ずに終わる馬の方が圧倒的多数なので十分立派な成績には違いないが。わたしはというと、どれを買っても自信がなく、好きな馬を買っただけという感じであえなく惨敗。1、2着馬のどちらかは買えたかもしれないが、この組み合わせになるとまでは...今年の天皇賞もオルフェーヴルの回避によって、決して「最強馬決定戦」とはいえないものの、まあ、しっかりとした主役とそれに続く馬もいるのでまずまずか。わたしが本格的に競馬をスポーツとしても見るようになったキッカケのレースが1997年のこのレースだけに若干寂しい気もする。ガラパゴス化した日本競馬に象徴ともいえるレースだが、かといって距離を縮めるのとかは反対。菊花賞にしても、こういうレースもあっていいと思う。この2005年のレースを見てしまうと、今年の1番人気馬は必ずしもテッパンとはいえない気もしてくるが。武豊が最内枠を引いたのが怖い気も。予想はまた今度。では。メイショウサムソンのサムソンは、サムソン・ティーチャーでは御座いません(たぶん)。サムソン冬木です(ウソ)。

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